精米の歴史や最先端技術を知る!精米機のパイオニア・サタケの施設見学
私たちの食生活の柱として欠かせない、日本の食卓をツヤツヤと彩ってきたご飯。そのお米を精米する世界的技術を持つのが、東広島市に本社を置く「株式会社サタケ」です。
今回は、4月4日に開催された施設見学の様子をみっちりレポート。次世代型精米プラント「MILSTA(ミルスタ)」、選別加工総合センターなどを間近にし、精米に関する最先端技術を楽しく学んだ1日の様子をお届けします。
〜 記事の目次 〜
サタケの施設見学
お米の学校開校!もみすりや精米を体験
1896年、日本初の動力式精米機を発明して創業した「サタケ」。
以来、穀類の加工技術の研究を重ね、現在は総合食品機械メーカーとして、日本はもちろん世界150カ国以上に精米機などを輸出しています。
同社では小学4年生以上を対象に、「お米の学校」と題した施設見学を不定期で開催。お米に関する知識を、易しく、そして楽しく伝えています。
まずは、お米に関する基礎学習からスタート。
お米が田んぼでできるまで、そして収穫後の工程である乾燥、もみすり、精米などを時系列に沿って学んでいきます。
案内役は、「マーシー」こと、広報部の宗貞匡さんです。
広報部の皆さんそれぞれが、キャッチーなニックネームを名乗り、参加者さんとの距離がグッと近づく工夫が成されています。そして何より、わかりやすく、すっきりとした説明に、大人もグイグイ引き込まれてしまうほど!
精米で有名な「サタケ」ですが、実は業務用の炊飯機なども開発販売。中国地方の某有名コンビニチェーンで販売されているお弁当やおにぎりにも、「サタケ」の炊飯機が使われているそうです。
「お米を刈り取ってから食卓に並ぶまでの、さまざまな機械をつくっています」とマーシー。「サタケは有名な会社だけど、具体的に何をしているんだろう?」という謎が、徐々に解けていきます。
さて次は、簡易もみすり機を用いた「もみすり体験」です。
稲から脱穀した「もみ」は、まだ食べられる状態ではありません。 もみすりをしてもみ殻を取り玄米にすることで、初めて食べられるようになります。
しかしここで終わりではありません。
お次は、家庭用の精米機を使った精米体験です。私たちが普段食べているお米の色は白。玄米は栄養価が高く、もちろん食べられますが、ここからヌカを取ることで初めて白米になります。
精米機に入れること数分。ようやく、私たちが普段目にする白米と対面です!
精米機が登場するまでは、昔の人は苦労して手動で行っていたと想像すると、気が遠くなりそうに…!実際の体験を通じて、改めて「食」の有難さを学ぶ機会となりました。
速い!的確!異物を瞬時に分ける光選別機
場所を移して、選別加工総合センターへ。
案内してくれるのは、愛称「ジョディ」こと、広報部の大橋奈央さんです。ここは、お米をはじめ、さまざまな原料を選別して加工する試験場。「サタケ」が開発した最新鋭の機器が揃っています。
ここで目にしたのは、さまざまなカメラで異物を見つけて空気ではじく機械「光選別機SLASH」の威力です。
なんとこの機械、高精度のフルカラーカメラと近赤外線カメラを搭載。LEDで米に光を当て、白米に混ざった着色米や小石などを、瞬時に取り除くことができるとか!
こちらは選別後の不良品です。
米と同じような形の石やガラス、もみ、そして稲の生育中にカメムシに食べられたことによって一部黒く変色した着色米などを「光選別機」が取り除きます。
着色米は、食べても問題はないそうですが、私たちが普段目にする真っ白のお米とはやはり様子が違います。
さて、実験開始!
さきほどの着色米などの不良品ときれいな白米を混ぜ、「光選別機」へ投入。ピピッと操作ボタンを押すと…。
瞬く間に、不良品と白米がきれいに選別されて出てきました。この作業をもう1度繰り返し、見た目も味も良い、高品質なお米を届けられるようになるのだそう。
更に驚いたのは「光選別機」は、お米だけでなく、豆類やペットフード、アーモンド、コーヒー豆など、あらゆる食品物や加工物に対応。私たちの生活に身近なたくさんのものに、「サタケ」の技術が生かされていることを知りました。
まるで異次元空間!次世代型精米プラントが魅せる世界に誇る技術力
広い敷地内をさらに移動して、研究開発空間「クリスタルラボラトリー」のウェルカムホールへ。
こちらには、世界三大穀物である米、麦、とうもろこしなど、約200種類が展示されています。
私たちがいつも口にするジャポニカ米以外にも、ジャバニカ米、インディカ米があり、世界的な生産量でみるとインディカ米が80%と圧倒的にメジャーなのだとか!広い地域で栽培されているお米は、インターナショナルな穀物。世界中の食文化を支えているのです。
穀物について学んだ後は、研究施設内へと進みます。
目に飛びこんできたのは、思わず息を飲んでしまう大スケールの、次世代型精米プラント「MILSTA(ミルスタ)」です。普段は、「サタケ」の技術者たちが試験等を行う場所として機能していますが、今日は特別にプレゼンショーを体験させてもらいます。
静まり返った暗闇を突如として包んだのは、幻想的な光。そしてダイナミックな音楽と、スクリーンに映し出される映像です。研究施設というより、もはや豪華テーマパーク!大迫力のショーを見ていると、まるで別世界にいるような錯覚に陥ります。
このショーは、通常、顧客用プレゼンテーションに用いられるそうですが、チャンスがあればぜひ皆さんに体感していただきたいものです。「不可能はない」という「サタケ」の精神と技術が凝縮された次世代型精米プラント。体の内から湧き出てくる高揚感を感じられるはずです。
昔ながら精米法や吟醸酒の発祥を知る歴史館
最後に通されたのは、昔の足ぶみ式精米道具や、「サタケ」がこれまで開発してきたさまざまな機器、そして歴代社長の軌跡などが展示された歴史館です。
日本の古式の脱穀用農具である「千歯こき」や、手動で風を送ることで、米や麦などの穀物ともみ殻を分ける「とうみ」など、今はもう使われなくなった昔の道具が並びます。
足で踏んで杵を動かす足ぶみ式精米機は、参加者のお父さんが実際にトライ。大変な重労働であったことがわかります。
そこで、創業者の佐竹利市が、日本初となる動力式精米機を1896年に考案。
「サタケ」の始まりはここにあります。
現在残るのは模型のみですが、4つの唐臼が付いた動力式精米機は、人力の40倍の速さで精米することができたそうです。
東広島市は、昔から日本酒の名産地です。開発のきっかけは、「賀茂鶴酒造」の前身であった酒蔵の当主、木村和平からの依頼だったとか。農家さんの重労働を軽減させたいとの思いで開発された日本初の革新的精米技術は、現在の「サタケ」が持つ、ものづくりスピリットに、しっかりと根付いているのです。
さらに、1908年に登場した日本初の「研さく式精米機」は、吟醸酒に必要な高精白の精米を可能にしました。美味しいお酒をつくるためには、米をたくさん削る必要があります。
東広島が「吟醸酒発祥の地」となったのは、「サタケ」の精米技術なしでは語れない歴史があるのです。
社会科で学ぶ地元の歴史を、施設見学で自分ごとに
全施設内を周れば、お米の学校修了書が手渡されます。
広島市から参加した姉妹は、「特に、もみすり体験が楽しかった。お米について、たくさん知れました」と満面の笑み!
地元である東広島から参加した親子とお友だちは、佐竹利市像の前で記念撮影を。
つい最近、日本酒を軸とした発表会を学校内で行い、日本酒の歴史に興味を持ったそうです。「本物の佐竹利市が知れて嬉しい!」とご満悦。小学校が率先して、日本酒を課題にした授業を行うのも、東広島ならではの取り組みですね。
最後は、参加者全員で記念撮影タイム。
写真を撮るときのかけ声は、「はい!チーズ」ではなく・・・・・・「玄米、白米、無洗米!」。お米の学校らしい、楽しいラストとなりました。
今回、施設内を案内してくれた「サタケ」広報部の3人の皆さん。終始笑顔で参加者さんの質問に答え、「サタケ」の技術力や歴史について、熱く語ってくださいました。
宗貞匡さん(愛称:マーシー)
「社内を見ていただく機会は、なかなかありません。この日を通して、当社に親しみを持ち、興味を持っていただけると嬉しいです」
西名緯久男さん(愛称:ニッキー)
「皆さんの食卓に上がるご飯には、お米をつくる人、技術を開発する人など、たくさんの努力が詰まっています。ご飯を食べるときには、ぜひ思いを馳せてみてください」
大橋奈央さん(愛称:ジョディ―)
「当社は精米だけでなく、さまざまな技術開発に力を注いできました。『あれもサタケかな?』『これもサタケかな?』と普段の生活の中で、当社を思い出してもらえると嬉しいです」
企業理念は「明日をつくる力」。世界トップメーカーとして、米を取り巻く豊かな食文化を次世代へと繋げています。そんな大きな使命感と矜持を抱く「サタケ」の今後の挑戦が、ますます楽しみです。
サタケの詳細情報
施設情報
名前 | 株式会社サタケ |
住所 | 東広島市西条西本町2-30 |
電話番号 | 082-420-0001 |
公式HP | https://satake-japan.co.jp/ |
お問い合わせはこちら
株式会社サタケ
https://satake-japan.co.jp/activity/school/index.html