ウルトラライトプレーン見学会で、非日常と空のロマンを体感!
「鳥のように自由に空を飛んでみたい」。
誰しも一度は、子どもの頃夢見たことがあると思います。
一見叶わないように思う願いですが、なんと東広島市に飛行機(ウルトラライトプレーン)を自由自在に操って大空を飛べる施設があります。
〜 記事の目次 〜
ウルトラライトプレーンの見学会
今回は、8月21日(日)に「豊栄フライングクラブ」で開催された、ウルトラライトプレーン見学会の様子をご紹介します。悠々と空を飛ぶその姿に、子どもも大人も大興奮の1日でした!
ウルトラライトプレーン愛好家が集結!豊栄町の飛行場
山陽道西条ICから北へ車を走らせること約30分。
広島県のほぼ中央に位置する東広島市豊栄町の山あいを上がっていくと、突如飛行場が現れます。
ここは「豊栄フライングクラブ」が運営する「豊栄飛行場」。標高600mの山を切り開いた地に、約300mの滑走路、格納庫、クラブハウス等を有しています。
見学をサポートしてくれるのは、ウルトラライトプレーン愛好家が集う「豊栄フライングクラブ」の皆さんです。
現在のメンバーは県内外から通う男性10人女性1人、計11人。
職業もさまざま、出身地や居住地もさまざま。ただ1つ共通するのは、空と飛行機が大好きだということ。
週末になるとこの場に集まり、ウルトラライトプレーンを飛ばし、技術を磨き、安全第一をモットーに精力的な活動をされています。
自作の機体で空を飛ぶ迫力満点のスカイスポーツ
ウルトラライトプレーンとは、日本の航空法では超軽量動力機というカテゴリーに分類される航空機です。
一般の飛行機に必要な操縦士ライセンスは必要ありません。
そのため、自ら飛行機に乗って操縦したいという夢を叶える一番の近道でもあります。
空を飛ぶスカイスポーツに分類され、全国に愛好家がたくさん。全国大会も開催されるほど人気のあるスポーツです。
しかし、全く訓練も受けずに飛ぶことはもちろん不可。
クラブの操縦指導者から指導を受け、飛行に必要な知識と技量をしっかりと身に付けたうえで、航空局に申請を提出するシステムが整備されています。
認定証の取得にかかる時間は人それぞれ。
指導者でもある会長の西川正秀さんから「年齢から半分の数字を引いた時間を想定してもらえれば」とのこと。例えば40歳の場合、約20時間の訓練が必要だとか。
驚いたのは、機体は全て海外から輸入したキットを自分たちの手で組み立てていることです。
ボルトやネジなどの細かいパーツにも最善の注意を払い、飛行機を完成させていきます。
1機を製作するのにかかる日数は2週間ほど。
「機体製作も楽しくて仕方がない。寝る間も惜しんで没頭してしまいます」と話すメンバーの皆さん。普段は、車の整備や電気系工事の仕事に従事する方が多いのも納得です。
意外と知らない?!飛行機が飛ぶ仕組みの理解を深めよう
今回参加したのは、広島県東広島市、岡山県岡山市から2組の親子です。
「今日は実際に飛行機が飛ぶ姿を見てもらいます。滑走路走行体験も準備しているので、飛行機の魅力をたくさん知ってください」と同クラブ会長の西川正秀さん。
顧問の中森良輝さんからは「機体の構造や、飛行機が飛ぶ仕組みを覚えて帰ってください」との挨拶が。
さぁ、初めて間近にする飛行機に皆が興味津々の中、見学会のスタートです!
メーターパネル(計器盤)、コントロールスティック(操縦管)など、ウルトラライトプレーン本体に取り付けられた機体各部の名称や役割を見ながら、まずは質問タイム。
岡山から参加した家族は、紙飛行機大会に出場して、実際の飛行機に興味を持ったとのこと。子どもたちはもちろんお父さんからも、操縦の仕方や飛行速度など好奇心に満ちた質問が投げかけられます。
「これはエレベーター。飛行機が浮いたり沈んだりする動きをコントロールするんだよ」
一度で理解するには複雑な構造ですが、メンバーの皆さんがひとつひとつ丁寧に、小さい子どもにもわかりやすく説明してくれます。
ひとしきり機体に触れたら、中森さんによる飛行機が飛ぶ仕組みについてのミニ講座の始まりです。
「飛行機が飛べるのは、翼が「揚力」を持っているから。そして翼が「揚力」を持つのは、翼の上下を空気が流れるから」
なぜあんなにも大きくて重い飛行機が空を飛ぶのか、大人でもきちんと理解するのは難しいもの。
しかし、図や小物を用いながらの説明は複雑ではなくとてもシンプル。子どもはもちろん大人にも興味深い内容でした。
見学のために用意されたのは中森さん自ら手作りした模型。
口頭での説明に加え、実際に体験すると理解度がグンと高まります。東広島市から参加したお父さんと男の子も、手作り装置を前に熱心に聞きいっていました。
小さい頃の好奇心や疑問、それに答えてあげることで子どもたちの将来が大きく変わっていくかもしれません。
ダイナミックなフライトを目の前に
飛行機のメカニズムについて学んだ後は、ウルトラライトプレーンウォッチング!
こんなにも間近で、目の前を滑走する機体を見られる機会はなかなかありません。大きなエンジン音を唸らせ、機体がふわっと浮き上がる瞬間に思わず歓声が上がります。
離陸した飛行機は、あっという間に大空へ。
機体は大きく旋回し、周囲の山をはるかに越える高さで飛んでいきます。
見学時は皆に見えるよう、滑走路から約150mの高さでゆっくりと飛んでくれますが、普段の飛行では、時速約100kmの速さで、上空1500~2000ft(約450~600mの高さ)を飛んでいるそうです。
管制塔的な役割を持つ地上と上空は、常に無線で連絡をとりあいます。
「コチラトヨサカ ローパス」「タッチアンドゴー」
なにやら呪文のような不思議な言葉のやりとりですが、無線で通信する姿もかっこいい!
そんな無線通信も、この日は特別に子どもたちも経験。
「ローパス」とは、低空で滑走上空を通過すること。
「タッチアンドゴー」は、飛行機が着陸した後にそのまま離陸していくことを指します。
小学4年生の男の子が無線機で「タッチアンドゴー」と指示すると…。
空を飛んでいた飛行機が滑走路に戻ってきました。そしてすぐに、また大空へ!
「高く飛んで」「ゆっくり飛んで」
専門用語以外のリクエストにも、ウルトラライトプレーンは応えてくれます。参加者全員が、クラブメンバーの一員になったような一体感に包まれ、皆の顔に笑みがこぼれます。
素晴らしい操縦を見せてくれたのは、「豊栄フライングクラブ」会長の西川さんです。
西川さんの前職はメカニック。趣味でラジコン飛行機を作り飛ばしていたそうですが、それだけでは物足りなくなり、ウルトラライトプレーンの世界へ足を踏み入れたと言います。
なんと西川さんは、ウルトラライトプレーン日本選手権大会にて3度の優勝経験を持つ大ベテラン。改めて、ウルトラライトプレーンの魅力を聞いてみました。
「車は道路の上を走りますが、空には整備された道はありません。自分の好きな操縦で自由に楽しめます。まるで鳥になった気分です。加えて、何度飛行しても、同じ空気は二度と流れません。見えない空気といかに対峙していくか。自分の努力や力量が試さます。これほど楽しいものはないですよ」
空を愛し、空を制する。空飛ぶロマンを現実にしたクラブの皆さんは、まさに空のスーパーヒーローのようです。
滑走路を走って気持ちいい疾走感を体験
楽しい時間は続きます。最後は機体に乗り、滑走路の走行を体験。
訓練を受けていない人を乗せての飛行はできませんが、飛ぶまでのスピード感を味わえます。
時速30kmで滑走路を走るウルトラライトプレーン。
比較的ゆっくりとした速度ですが、参加親子のテンションは最高潮!
機体から降りると「とても早くてびっくりした!」との感想が。
そこで、ライターも実際に乗せてもらうことに!
ブルンとエンジンをふかして、徐々にスピードをあげていく機体。
周囲に覆うものが何もないため、直に全身で風を受けます。風をきって駆け抜けていく感覚は、ジェットコースターとも、オープンカーとも異なる迫力。凄まじい風圧に思わず声が出てしまいます。時速30kmですが、体感だと時速50kmほど。長い滑走路を進んでいくうちに「このまま飛べてしまえたら」…と、密かに心の中で願うほどの爽快感です。
このスリルは、他のアクティビティでは決して味わえません!
空飛ぶ夢を叶えるウルトラライトプレーン
最後に全員でパチリと記念写真。
飛行機への理解を深め、ダイナミックに飛ぶウルトラライトプレーンを間近にし、滑走体験では感嘆の声があがるほどに大興奮。約2時間の飛行機との触れ合いは、空を飛んでみたいと願う子どもたち、そして大人たちへの希望の光となりました。
「豊栄フライングクラブ」の皆さんが教えてくれたのは、飛行機の魅力だけでなく、空を飛ぶことは決して夢ではないこと、そして夢で終わらせない諦めない心です。
〜 次回は春に開催予定! 〜
大きな空に、でっかい夢を描いでみませんか?
優雅に飛ぶウルトラライトプレーンの姿を見ていると、毎日の小さな悩みも吹き飛んでしまいますよ。
豊栄フライングクラブの詳細情報
施設情報
店名 | 豊栄飛行場 |
住所 | 東広島市豊栄町清武 |
電話番号 | 082-432-2682(活動中のみ) |
公式HP | http://www.megaegg.ne.jp/~tfc/index.html |
豊栄町にある飛行場でウルトラライトプレーン見学
時間 | 春・夏休み(1時間半/回) |
定員 | 15名程度 ※参加者満足度を高めるため少人数開催(大人数は要相談) |
見学料 | 無料 |
予約方法 | ・ディスカバー東広島WEBサイト ・豊栄フライングクラブ問合せページ |
お問い合わせはこちら
豊栄フライングクラブ公式サイト
http://www.megaegg.ne.jp/~tfc/index.html