賀茂鶴酒造|杜氏による酒蔵案内と日本酒オリジナルラベル貼り体験
体験レポート

賀茂鶴酒造|杜氏による酒蔵案内と日本酒オリジナルラベル貼り体験

2022/09/22 10:00

兵庫県の灘、京都府の伏見と並ぶ、日本三大酒処のひとつ、東広島市西条


趣ある酒蔵通りに蔵を構える老舗酒蔵・賀茂鶴酒造で、2022年8月28日(日)、小学生と保護者に向けた見学会が開催されました。


日本酒は何からできているの?どうやって造っているの?

そんな子どもたちの疑問に答えるべく、杜氏さんがクイズ形式で酒造りの工程をレクチャーし設備を案内。あわせて、日本酒オリジナルラベル貼りなども体験できたスペシャルな1日の様子をお届けします! 



美酒を育み続ける大吟醸の先駆け蔵元「賀茂鶴酒造」



酒都・西条を代表する蔵元として知られる明治6年創業の賀茂鶴酒造

大吟醸酒をいち早く商品化し、全国新酒鑑評会では屈指の受賞数を誇る、常に時代を先導してきた蔵元のひとつです。




社内には4つの醸造蔵があり、人、設備ともに西条ではトップクラスの規模を誇ります。


賀茂鶴酒造のフラッグシップといえば、桜の花びらを模した金箔入りの大吟醸酒「大吟醸特製ゴールド賀茂鶴」です。オバマ元大統領が来日した際に召し上がった酒としても有名になりました。妥協を許さぬ酒造りの信念を持ち「酒中在心」(酒の中に心あり)をモットーに掲げ、世界中の日本酒ファンを魅了する酒を醸し続けています。




酒蔵通りでひと際目を引くのが、2019年にリニューアルされた賀茂鶴酒造の見学室直売所です。

賀茂鶴で最初にできた蔵である一号蔵を改装したこちらでは、酒造りの道具などの展示や、お酒やグッズなどが販売され、誰でも気軽に訪れることができます。


さぁ、今日の見学会はここからスタートです!



酒蔵見学とオリジナルラベル貼り体験を密着レポート

地元西条の奥深い酒造りを学ぶ



参加者さんは、まず、エントランスで写真をパシャリ。

この写真は、本イベントの要ともなるオリジナルラベル日本酒づくりの大切な1枚となります。


思い出の形がお酒に残るのは、なんとも嬉しいもの。




定刻になると、蔵を教室にした子ども向け日本酒授業の始まりです。

まずは、石井裕一郎副社長から参加者の皆さんへご挨拶が。


「みなさん、ようこそ!賀茂鶴は来年、創業150年を迎えます。今日は、お酒造りの工程や、発酵、醸造など微生物の働きを、楽しみながら学んでくださいね」


大人向けの酒蔵見学会は、常に開催している賀茂鶴酒造。しかし、まだお酒を飲むことができない低学年の子どもに向けた見学会はこれまでにない試みだそうです。


その心はもちろん、酒処西条という土地や伝統産業を身近に感じてもらいたいからこそ。




スライドを用いた座学では、同社営業本部課長、天畠健史さんより、東広島という地域や酒蔵の特徴、賀茂鶴の歴史、三浦仙三郎や佐竹利市など広島の酒造りの先人たちのお話が、やさしい表現を用いて説明されます。


「東広島にはいくつ酒蔵があるでしょうか?わかる人!」


その質問に「19!」「100!」と、子どもたちから無垢な答えが返ってきます。


「正解は、東広島の海側と山側を含めて、全部で10蔵です!東広島の駅の周りには7蔵あるんですよ。覚えておいてね」




ここで賀茂鶴酒造の4人の杜氏の1人、井手滝太さんの登場です。

杜氏という職業は小学生にとってあまり馴染みはないもの。井手杜氏は、自らの職業をこう話します。


「お酒は1人で造れません。お酒づくりに関わる人を束ね、マネジメントするのが杜氏のお仕事です。こうしたらもっとお酒がおいしくなるんじゃないのかな~?とお酒づくりを取り仕切っています」


そんな日本酒造りのリーダーから説明されるのは、酒造りに必須のお米や水、麹や酵母の関係性など、酒造りに関するメカニズムです。


大人の日本酒初心者にもわかりやすい内容に、フムフムと頷くお父さんお母さんがたくさん。




さらに理解を深めるため、10分間のビデオを鑑賞します。

酒造りの工程はもちろん、西条や賀茂鶴酒造の歴史がキュッと詰まった動画に、子どもたちは真剣に見入っていました。




実際に見て触れられるのも嬉しい酒蔵見学。


日本酒の主原料のひとつは米ですが、私たちが普段食べている食用のお米は使いません。酒造りに適した米である酒造好適米は、食用米よりも背が高いため風に弱く、栽培が難しい品種なのだとか。一粒の酒米、農家さんの努力に尊さを感じます。




駅周辺にはレンガづくりの煙突が13本そびえ立っています。そのうち4本が賀茂鶴酒造のもの。昔は、酒米を蒸したりするための燃料として石炭を使っていたため、大量に発生する黒煙が町に舞わないための高さになっているそうです。


なるほど!だからこんなにも高い煙突なのかと、大人も驚く豆知識が続々。エネルギーが石炭から石油へと変わり、この煙突も使用されなくなりましたが、現在も街のシンボルとなって、静かに酒造りを見守っています。



ゲーム感覚で楽しめる杜氏による蔵案内



お次は実際に酒造りが行われている8号蔵に移動して、蔵内を見学します。

各所でお酒にまつわるクイズが井手杜氏によって出題。まるで楽しい謎解きゲームのよう!




階段を使わないと登れない大きな桶のようなこちらは、甑(こしき)と呼ばれる酒米を蒸すために用いる蒸し器です。

現在は金属製の甑を使うのが一般的ですが、賀茂鶴では昔ながらの木製甑を用いて酒を造ることもあるのだとか。容量はなんと約3000kg!驚きのスケールです。




続いてやってきたのは麹造り専用の部屋、麹室

麹造りは酒造りで一番重要な作業といっても過言ではない、大切な工程を担う場所です。もちろん今、作業は行われていませんが、内部の温度は高く、たった数分で汗が噴き出てきます。




ここで井手杜氏からクイズ出題!

「麹室の室内は何度でしょうか? ①25度 ②35度 ③45度 みんな考えてみてね」


正解は…、実際に酒蔵見学をしてからのお楽しみに!


さらに井手杜氏は、こう続けます。

「酵母菌、麹菌。彼ら彼女が住みやすい環境を整えることを大切にしています」


酒造りで大切な菌

それをまるで人間のように彼ら、彼女と呼ぶ様子に、ハッとしました。微生物をただのモノと扱わず、誠意をもって接すること。うまい酒を醸す賀茂鶴酒造の真髄を目の当たりにし、なんとも温かい気持ちでいっぱいに。




お次は、巨大なタンクがずらりと並ぶ場所へ。

深さ約2.5mのタンクを前に、井手杜氏からまたまたクイズが!


クイズの内容も答えも、ここではまだ秘密にしておきましょう。この場所に限らず、さまざまな箇所で出題された、日本酒造りに関する問い。見学会では、子どもはもちろん、大人も知らない日本酒の奥深い世界が待っていますよ。



利き水に王冠マグネット作り!楽しく知る日本酒の世界



まだまだ続く、充実の賀茂鶴酒造見学ツアー。

場所を移動し、利き酒ならぬ、利き水にトライします。


参加者の皆さんに用意されたのは、中硬水の賀茂鶴の仕込み水と、硬水であるヨーロッパのミネラルウォーター「エビアン」のお水


「賀茂鶴のお水(中硬水)は、優しくて柔らかい味がします。一方、灘や伏見のお水(硬水)は硬くてしっかりとした味がします。賀茂鶴の仕込み水を当ててみてください」


無色透明、見た目は全く同じです。参加者全員でお水を飲み、味を確認します。




「賀茂鶴のお水は、皆さんから見て左のお水です!」


正解者は約半数。参加者さんは顔を見合わせて、再度お水の味を確認しています。


軟水仕込みが特徴のひとつである広島の日本酒。昔はミネラルを多く含む硬水が適しているとされていましたが、醸造技術の発展により、おいしい日本酒が造られるようになりました。広島の酒ならではの深い旨みは、お水の恩恵だと再確認できた瞬間です。




さらに机の上に並べられたのは、はさみと一般的な磁石式のマグネット、そして賀茂鶴の酒瓶の王冠です。製作するのは、賀茂鶴特製王冠マグネット


作り方はとっても簡単。王冠の根本をはさみで切り、マグネットを中に差し込むだけ。




あっという間に、手作りの王冠マグネットが完成です。

お酒は飲んでしまえばなくなってしまいますが、王冠をマグネットとして再利用すれば、実用品へと変化します。


学校でもらってくるプリントなどを、冷蔵庫やデスクに張り付ける家庭も多いはずです。


「今日の賀茂鶴での経験をお家でも思い出してほしい」


そんな思いが込められて企画された王冠マグネットづくり。子どもたちも手先を動かしての作業に終始没頭していました。



世界に1本!記念に残るオリジナルラベル日本酒を



いよいよ本日のクライマックス、吟醸酒オリジナルラベル貼り体験のスタートです。


見学会の最初に撮影した写真が、見事にラベルとなって皆さんの手元に届きます。

実際に賀茂鶴の手貼り作業で使用する「もち糊」をラベルに付け、ついたてに置いた酒瓶の表面に貼り付けていきます。


ラベルを引っ張りながら真っ直ぐになるように。慎重に、丁寧に。




「上手にできたね!」


東広島市在住7歳の男の子は、この日本酒を、敬老の日に合わせて、おじいちゃんおばあちゃんにプレゼントするそう。


お父さんは、普段日本酒を飲まないそうです。しかし、今回の見学会を機に飲んでみたいと思ったとか!




「日本酒づくりには、大変な作業がたくさんあることがわかりました。今はお酒を飲めないけど、大人になったら賀茂鶴のお酒を飲んでみようと思う」と11歳の女の子。


楽しい思い出がラベルになり、飲んだ後もインテリアにして飾って楽しめる思い出が詰まった世界でひとつだけの日本酒です。


こちらの中身は「純米大吟醸 広島錦」。お酒そのものも、最高に美味でスペシャルな1本ですよ。




お酒が飲めない小学生にも、たくさんの笑顔をもたらしたこの度の見学会。

どうやって日本酒の魅力をわかりやすく伝えるか、随所にたくさんの工夫が施されていました。


「子どもたちの笑顔が一番ですね。大人になったとき、少しでも今日という日を覚えていてほしい」と天畠さん。


「生き物(微生物)ありきの日本酒造りを知ってもらえたら」と井手杜氏。


「お子さんを含め、皆さんに愛される酒造メーカーでありたい」と石井副社長。


2023年には創業150周年を迎える賀茂鶴酒造。日本酒の味だけでなく、その背景や生産者が届けたい想いを余すことなく伝えてくれた濃厚な時間に乾杯です!



イベント情報の詳細

施設情報

店名賀茂鶴酒造株式会社
住所広島県東広島市西条本町4-31
電話番号082-422-2122(代表)
公式HPhttps://www.kamotsuru.jp/


杜氏による酒蔵案内&純米大吟醸オリジナルラベル貼り体験

所要時間1時間半
定員20人
体験料(一人あたり)1,000円~
開催日夏休み
参考URL予約サイト
※2024年は8月24日(土)開催
※募集期間外は予約ページが表示されませんので、ご了承ください。

大人向けの「杜氏による酒蔵案内」は通年で毎月実施しています。


↓「杜氏による酒蔵案内」の予約はこちら ↓

https://east-hiroshima.info/activity/plan/15


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